4スタンス理論でラケットを選ぶと・・・その1
私は、ジュニアクラブの監督ですが、本業がカイロプラクターということもあってか、『4スタンス理論』に興味を持ち、ソフトテニスの現場でも、いろいろ研究を続けています。
人間のからだの動かし方には、大きく分けると4つのタイプがあり、それぞれにからだの使い方のコツがあります。これを4スタンス理論というのですが、今では、様々なスポーツの世界で、注目され、数々の成果があげられている新しい理論です。
ただ、テニス界やソフトテニス界では、まだまだ研究が進んでいないように思うんですが、他のスポーツと同じように、4スタンス理論を実戦し、能力を高めることは十分可能です。
★ラケットのバランスとスィートスポット
ラケット(フレーム)を選ぶ時の要素はいろいろありますが、最初に購入するモデルを決めたとして、次に、重量、グリップサイズを選びます。重量や、グリップサイズもすごく大事なんですが、私が重視している一つポイントとして、”バランス”があります。(フレームの硬さ、軟らかさ、面のサイズ、等はもちろんのことです。)
バランスというのは、”ヘッドヘビー”(ラケットヘッド側が重い)と、”ヘッドライト”(ラケットヘッド側が軽い)ものがあります。もちろん、その中間くらいのバランスのものもあります。
ヘッドヘビーのものは、スィートスポットが、ややヘッド側にあり、ヘッドライトのものは、スィートスポットが、ややグリップ側にあります。
↑ヘッドヘビーのラケット(スィートスポットがややヘッド寄り)
↑ヘッドライトのラケット(スィートスポットがややグリップ寄り)
例にあげたラケットは、どちらもスリクソンですが、上が後衛向け、下が前衛向けのラケットとして販売されたものです。
このメーカーに限らず、今までは、どこのメーカーさんも、後衛向けはヘッドヘビー、前衛向けはヘッドライトに設計しています。これは、ストローカーは、先を重くすることで、遠心力で強いボールを打つため。ネットプレーヤーは、先を軽くすることで、ボレーなどの操作性を向上させることが目的だと思います。
ソフトテニスラケットが、後衛向け、前衛向けと区別して販売されるようになったのが、いつ頃かは知りませんが、一環してそのような考え方なのでしょう。
↑2本のラケットは、横糸1本分くらい、スィートスポットに差があります。
私も、数年前まで、後衛向け、前衛向けという区別に、まったく疑問を持っていなかったのですが、4スタンス理論を研究するうちに、一つ疑問が沸いてきました。
4スタンス理論で分類すると、つま先重心の人は、”指先派”、かかと重心の人は、”手の平派”となります。
例えば、ボールをつかむ時に、指先でつかむ人と、手の平でつかむ人がいるということですね。
この感覚というのは、生まれ持ったもののようで、何かつかむ動作、物を持つ動作、何かに触れる動作などにも、自然に現れます。サービスでトスを上げる時のボールの持ち方にもはっきり出やすいですから、面白いですよ。
↑これは昔のブログで紹介した動画です。
http://office-tagami.cocolog-nifty.com/tennis/2014/05/43-6268.html
人間は、指先派と手の平派のタイプがいるわけです。
↑指先派
↑手の平派
ボールが飛んできて、それをつかもうとした時に、指先派の人と、手の平派
の人では、当てに行くポイントがおのずと違ってくるということですね。
ラケットは、手に持って操作するわけですが、よく言われるように、『ラケットは手の延長である!』ということです。
ラケットでボールを打つ時も、指先派の人(A1,A2タイプ)は、ラケット面のヘッド寄りでボールを捕らえるのではないか?
手の平派の人(B1,B2タイプ)は、ラケット面のグリップ寄りでボールを捕らえるのではないか?
そのように推論を持ち、指導している子供達のプレーを見てきましたが、どうやら間違いではなさそうです。
ヘッドヘビーのラケットと、ヘッドライトのラケットを、子供達に打ち比べさせて、どちらが打ちやすいかテストしたりもします。新しいラケットを購入するときの参考にするためです。
すると、つま先重心(指先派)の子は、ヘッドヘビーが打ちやすいと言いますし、かかと重心(手の平派)の子は、ヘッドライトが打ちやすいと言いました。これは、何十人というデータを正確に取ったわけではないのですが、今までの経験値です。
今までの教え子で、後衛なのに、あえて前衛向けラケット(ヘッドライト)を選んで、使わせていたりしたのは、実は、こういう理由があったのです。
からだのバランス(手の感覚)と、ラケットのバランスが合っている方が、しっくりとくるわけですね。
★実例を紹介
ある高校生の選手の実例をご紹介します。(といっても、我が娘の話で、恐縮です。)
彼女は、ジュニア~中学~高校1年までは、主に後衛、ストロークプレーヤーでしたから、ラケットは、後衛向けのものを主に使っていました。4スタンス理論で分類すると、A1タイプ(つま先、内側重心)です。つまり、指先派ですね。
後衛向けのラケットは、ほとんどがヘッドヘビーですから、バランス的にも、ちょうど良かったと思います。
高1の終わり頃から、前衛への転向を命じられたのですが、今まで通り、後衛もしたり、あるときは前衛だったり・・・、なかなか忙しくなってきました。6月、7月と、ネットプレーヤーとしての出番が増えてきたようでした。
プレーを見ていると、ボレーで振り遅れているシーンをちょくちょく見かけるので、ラケットも見直した方が良いのではと思うようになりました。
それまで使用していたラケットは、『ヨネックス ネクシーガ70S』(その前は、スリクソンX200S)、重さUL、グリップサイズ0です。グリップサイズが、0というのは、細すぎないかと思う方もいるかもしれませんが、手の小さい彼女にはちょうど良いサイズです。Aタイプ(指先派)には、細めのグリップが良いという別の理由もありますしね。(グリップサイズ0に、オーバーグリップテープも巻きますから、”0”というより、実質”1”のサイズになってます。)
さて、ここで困ったことになりました。今よりも、ボレーでの操作性を向上させるため、1センチ短い『ネクシーガ70V』(ネットプレーヤー向け)を選ぼうと思ったのですが、バランス的にはヘッドライト過ぎることが不安でした。また、グリップサイズも、『2,1』しかありません。『0』がないのです。
今まで、一度も利用したことがなかったのですが、ヨネックスには、『カスタムフィット』というこだわりの注文方法があるということを思い出しました。
カスタムフィットなら、重量、バランス、グリップサイズ・形状を、好みに合わせて指定することができます。
カスタムフィット
http://www.yonex.co.jp/soft_tennis/custom-fit/
別注料金が発生してしまうのですが、彼女の高校現役生活も後一年だと思い、予備ラケットも必要なので、2本注文しました。
スペックは、重量:マル秘、バランス:ヘッドヘビー、グリップサイズ:0 です。グリップ形状は、プレーシフトグリップと、八角形グリップが選べるんですが、プレーシフトのままで良いというので、八角形にはしませんでした。
新しいラケット届き、ネットプレーにも磨きがかかり、以前より、動きが良くなったように思います。新しい相棒との相性は、ばっちりのようです。
このようにラケット選びも、非常に重要だと思いますので、うちのチームの皆さんも、買い換え前には、監督に一声掛けていただければと思います。
量販店や地元ショップには、小さい体格の子が使うラケットは、ほとんどないと思ってください。中学生や高校生をターゲットにしたラケットばかりですから、カタログには、細いグリップが掲載されてても、この近辺のショップにはまず並んでいません。カスタムフィットにしなくても、既製品でグリップ”0”のラケットもたくさんありますが、ショップが仕入れていないだけ、なぜなら、小学生のお客さんは、ほとんどいないですからね。
とにかく、ラケットは、知識のない店員から、買わないことです。ご注意ください。
★指先派?、それとも、手の平派?
せっかくなので、いろんな事例を、ご紹介しておきます。皆さんは、どんな持ち方をされますか?
●クーラーボックスを持つとき・・・
↑指先で引っかける指先派(Aタイプ)
↑がっしりつかむ手の平派(Bタイプ)
●買い物袋を下げるとき・・・
↑第一関節で引っかけて持つ指先派(Aタイプ)
↑第二関節で引っかけて持つ手の平派(Bタイプ)
●ボールの持つとき(トスを上げる時)
↑A1タイプ 指先で浅くななめに持つ
↑A2タイプ 指先で浅くまっすぐ持つ
↑B1タイプ 手の平の上にまっすぐ持つ
↑B2タイプ 手の平の上でななめに持つ
●スマホを持つとき・・・
↑A1タイプ ななめに指先で浅く持つ
↑A2タイプ まっすぐ指先で浅く持つ
↑B1タイプ まっすぐ深く持つ
↑B2タイプ ななめに深く持つ
●ペットボトルを持つとき・・・
↑A1タイプ ななめに指先で浅くつかむ
↑A2タイプ まっすぐ指先で浅くつかむ
↑B1タイプ まっすぐ深くつかむ(手の平がつくように)
↑B2タイプ ななめに深くつかむ(手の平がつくように)
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